ショーマンシップのあるキャラ、好き

ショーマンシップのあるキャラが好きです。

けれど、最近はどうも、ナチュラルな良さ、というのが尊ばれる傾向にあるように思います。キャラとかフィクションの話だけじゃなくて、全般的に。そのままの自分であること、飾らずに、そのままで愛してもらうことこそ、本当に幸せなこと……それこそ真実なんだ、と。

少し前までは、「本当の自分」を批判されることが一番耐えられないことだから、「演じた自分」を人前に差し出すことによって「本当の自分」を守る、というようなことがあった。けれども、今は「本当の自分であれば、褒められても貶されても怖くない」「本当の自分でいられないなら、無意味」という方向にシフトしてきているように個人的には感じます。

また、「値打ちのある自分、よりよい自分を演じる」ということも、精神衛生上よくないとされる傾向が強くなってる気がする。なんでかは知らない。不景気だから?演じることに疲れたから?いろんなことがありすぎて、みんな体力を使い果たした時代だから?

たしかに、ナチュラルな良さ、というのは、推すときに安心できるのですよね。あっこの人無理して演じてるな、と思うと心配になる。そんなことをしなくてもいいよとか、思ってもないことを言わないでもいいよとか、平気なふりなんてしない方がマシだよとか、本当はこれ、好きじゃないでしょ?とか。

無理していないのなら、それが良くても悪くても、その人がコストを支払ってその人がお見せしてる姿ではないんだと安心できる。それを良いと言っても、悪いと言われても、空虚ではないわけですよね。嘘をつかないから、身のあるやりとりができる。

けれどもわたしは、ショーマンシップのあるキャラが好きなのです。ショーというのは、ほとんどの嘘、それからほんの少しだけの真実でできていると思います。だから、時流にはちっとも乗っていないのです。

こういうキャラはもともと悪役が多いし、これからもっと悪役が多くなるでしょう。流行りにマッチしない時代錯誤な人格のキャラは、主人公にするわけにいきません。嘘をつくのも作り込むのも、精神衛生上いけないことだから。みんなが真似したら良くない影響があるからです。よい子のみんなが真似しないように悪役なのです。

ショーマンシップは、サービスです。そもそもサービスってのは身を切ってサービスするもんなんだけど、わたし的に「身を切ってる」なんて思わせないキャラの方が好きです。身は切ってるかしれないけどどんどん身が生えてくるみたいな。

無限に身があるみたいな、パワフルなキャラが好きです。