二次創作のネタになりそうな戦闘機小説を読む①

 

戦闘機、わからんすぎ!!!なにあれ!?

ということで、ちょこちょこ戦闘機の登場する小説を読んでみました。読んだってわかんないんですけど。

海軍飛行士の活躍する小説って、翻訳ものだったらたくさんあるかと思いきや、全然ない。なので空自を舞台とした小説ばっかになってしまいました。だいたい出てくるのはF15です。

ネタバレがあります。

 

マルス・ブルー』鳴海章

天才パイロットが悪天候の最中ホットスクランブルで空へ上がり、急激に高度を下げて行方不明に!しかし数年後、レーダーをかいくぐって空自の飛行士たちの前に立ち塞がったのは、明らかにこの天才パイロットだった!

武藤広義だったらタックネームは最初と最後の文字を音読みで「ブギ」、全然キザじゃないからキザになれよということで「ギザ(ギガギザを縮めた)」、「サミー」、諸橋だから「モロウ」という名付け方の飛行士たちが登場する中、

ひとりだけ「カゲロウ」というパイロットが登場します。この時点で嫌〜な予感がしたね。なんで一人だけカッコいいお名前なんですか?

カッコいいコールサインの飛行士、やばい人が多い。

この人も同じようなタックネームの付け方で、「景坂志朗」の最初と最後の音をとってカゲロウなんですけど。四十代、階級は在籍時に3佐、殉職したと見なされ、二階級上がって1佐。

「虫のかげろうになりたい。かげろうには喋るための口もなく、食べるための口もない。」

と語る彼。「それが戦闘機パイロットってことだ、それが理想だ」と言います。虫の蜉蝣って短命で、食べることをしないで一日限りでその生涯を終えるんだそうですね。

TGMでも「これからは無人機だ。食事もクソもしなきゃならん人間は用済みだ」みたいなことをケイン少将が言いますけど、それに繋がるものがある。

彼は普通に危険思想を持っており、「真剣(実弾)でやり合わなきゃどっちが強いかなんてわからないさ!」「ミサイルを撃ち落とすより発射台を先制攻撃しろ」みたいなことを平気で言います。

が、めちゃくちゃ天才。日本にもトップガンのような飛行教導隊というのがあるらしいのですが、そこでは訓練生は皆寄ってたかってボコボコにいじめられるというのに、彼を訓練するときだけは教官もウィングマンも後席に座った飛行士も、黙ってしまった。だれも文句をつけられなかった。という逸話の持ち主。

彼はF15に乗ったまま自衛隊を脱走するのですが、そのときはブギ(武藤)と一緒に飛んでいないときを狙うんですね。ブギはカゲロウにとって馴染みのウィングマンです。

カゲロウは、「ブギと自分は一緒に仕事をしてもう長いから、もしかしたらブギも危険を顧みず、積乱雲の下に急降下して自分のことを探しにくるかもしれない。違うやつならそこまでして俺を探さない。ウィングマンの死を厭う気持ちはお分かりですね」

とか言う。はあ????お前………ブギの気持ちを考えろ

コイツ本当に……本当にこういう奴なんですよ。いい加減にしろ

ブギとカゲロウとは同じ女性のことが好きだった(?)(なんか微妙なラインなんですけどね)っぽいんですが、「最初にプロポーズする権利を賭けて俺とブギとでドッグファイトだ!」とか言い出す。ハア?お前、なんだと思ってんの?人の人生を???相手が居ることなんだから、もうちょっとよく考えたら??

あとさ、やっぱずるいよ。ブギはお前に勝てないのよ。ブギがカゲロウとのドッグファイト中に、巨大なGにさらされて喘ぐことしかできないとき、カゲロウは無線で「楽しくなってきたなぁ!」みたいなことを抜かす。まだ喋る余裕がある。お前本当にムカつくよ。ブギの気持ちを考えろ。勝てるってわかってやってるんでしょ。

わかりやすい賭けの商品にされたその女性はカゲロウと結婚しますが、その人は「カゲロウはブギと私と、ずっと三人でいたかったんだと思う」とか言う。結局この三人はカゲロウが行っちまったばかりにずっとずっと囚われて、身動きできないまま何年も経っています。カゲロウの思惑通りだね。

なんかすごいBLだけど一体なんなんだろう

蜉蝣は地中で何年も過ごし、一日だけ飛んでそれで死ぬ。その通り、パイロットのカゲロウが北朝鮮からロシアへ移り、監禁されて何年も過ごして、それで……

というくだりがきつかったです。あとパイロットの体調不良描写はいやですね。TGM はそれがなかったからなぁ

カゲロウと最後に対決するのは、ブギです。きついです!これぞBLじゃん

レーダーをかいくぐって現れたF15を見たブギ、無線に流れ込んでくる弾けるようなカゲロウの笑い声を聞いたブギの気持ち……ちょっとは考えろよ!!!

 

逃亡した後、ロシアの高官を戦闘機に乗せて成層圏まで慎重に高度を上げ、宇宙旅行を楽しませてあげるカゲロウ……虫の蜉蝣に囲まれたブギが口の中に入った蜉蝣を吐き出すのに苦心しているとき、蜉蝣の群れの中で手を広げて自由に楽しそうに笑うカゲロウ……

いや全編を通してカゲロウの描写になった途端ロマンチックすぎるだろ。カゲロウは最大のフィクションなので、こんなことになってるんでしょうね。

 

もちろん小説なので脚色だらけでしょうが、真に迫って細かく書かれており、戦闘機の描写が二次創作のタネになりそうでした。おもしろかったです!