クソデカ文字の同人誌を作ってしまった

わたしが初めて同人誌を作ったときの話です。

わたしはもともとオンラインでいいやろ派で、自分の作った二次創作を本にすることへのモチベーションがありませんでした。でも、他の人が作った同人誌はなんか素敵だし、欲しかったんですが。わたしは自分の作る本について、表紙にも、紙質にも、文字組みにも、書体にも、こだわりがある方でもありません。書いたら書いたでそこでもう完結だから、入稿とか、文字がどんな感じか悩むのとか、表紙をどうにかしないといけないこととかがめんどくさったのです。そもそも、やりたいこと、というのがなかったんですね。

その当時、「同人誌を作るなら本にする理由がないと」と思い込んでいました。そこでわたしは、右から読んだり左から読んだりすることでストーリーが変わってくる本だとか、何か仕掛けがある本を作らなければならないと考えました。

もちろん、そんな決まりはありません。webに出したものだって同人誌にしてもいいし、したいものを本にすれば良いのです。他の人が書いた本をありがたくゲットしてきていたのだから少し考えれば分かることなのですが、「自分の文はべつにオンラインで構わない文なのに、本にするには理由がないといけない」と、とにかく何故かそう考えていたのです。なんかゴールデンカムイの尾形みたいな考え方ですね。

オンラインではできないこと。本にするなら、それをするべきなのだという思考に執着していたわけです。

当初、本の上下を変えて読むと違う展開になる本、というのを考えていましたが、同人誌初心者のわたしには、文字を回転させるというのがとても難しくて挫折しました。

インデザインというソフトを使うとできるのではないか(確認していません)と思うのですが、わたしはすべてWordで作業しており、入稿する際には文字を逆さに反転したものを画像として原稿の中に埋め込み、入稿しなければならなかったのです。もしかすると今ならできるかもしれませんが、その当時わたしの手には余り、無理でした。

次にわたしが考えたのが、「黒の他に、青や赤といった薄い文字で印刷し、青や赤の部分をクリアフィルムで隠して読むと別のラストにたどりつく」という本でした。暗記をするときに使うアレです。

この場合、絵もないのにフルカラーでの入稿になるということと、青や赤の文字をどれくらい薄くすれば隠れるのか分からないという問題がありました。そして、クリアフィルムを買い手の人にどうやって届けたらいいのかということも考えなければいけません。暗記用のフィルムとか下敷きで読んでくださ〜い。と言っても、家にそんなもんない人が多いでしょう。しかも赤だけじゃなくて、青もだよ。いろいろ大変そうなこともあるけど、わたしは結局、この同人誌を作ることに決めました。

わたしは最後に、文字の大きさを決めました。仕掛けがある本で読みにくいから、デカい方がいいよね。ということで、なんと12.5ptくらいの文字の大きさにしたのです。

どう考えてもデカすぎるだろ。文字がお化けみたいにデカいよ。こんな本見たことないよ。絵本?絵本の文字の大きさなのよ。

今では良い思い出です。