ケツ締めると高音が出る

教職の免許を取るために、「合唱及び独唱」という授業を取る必要がありました。まあ教職の免許を取ること自体は挫折したんですけどね。教職なんて自分には無理だってことはちょっと考えればわかることなのにさ。教職課程は教育実習もあり、並大抵のモチベーションではこなすことができません。

なんで取ろうと思ったんだろう?たしか教職課程をすべて修了すれば自然と卒業単位を超えるから、計算ミスして留年なんてことがなくて便利だと思ったんでした。こんな奴が教職なんてね、無理なのよ。そもそも一回も先生になりたいなんて思ったことないでしょうが。免許あっても一生使わないのよ。

わたしは合唱もいやだし、独唱もいやでした。歌が超下手だし、音痴だし、なんかあんまり好きでもないのです。教職課程を取っていた人たちには、独唱よりは合唱の方が人気のようで、わたしは自然と独唱の方に回されてしまいました。

独唱っていうのはソロです。最悪ですね。なんかよお知らん簡単なアリアとか、小曲とかを歌わねばなりません。ドイツリートとか。歌詞は原語、イタリア語ならイタリア語、フランス語ならフランス語。しかも最終的には暗譜です。絶望!

もう教職自体やめちゃおっかな…とわたしは早くもそう思い始めていましたが、とりあえず単位も心配だったのでこの授業はサボらずに受けていました。

わたしは、その授業の先生によるとアルトではなくソプラノの声らしかったのですが(だいたいの人はソプラノだと言われていました)それは声帯が薄くて短いからなのです。人望も薄い上に声帯も薄いって?うるさいのよ。

声帯が薄くて短いソプラノの声を持った人は、もっと低い声を持った人よりも高い音を出すのが得意なはずです。コントラバスよりもヴァイオリンの方が高い音を出しやすいのと同じです。

しかしわたしは、どうしても高い音が出ないのです。その前に超音痴なのですが。

わたしは先生に泣きつき、相談しました。どうしても高い音が出ないんですけど、どうしたら良いですか。やる気がないんじゃないんです。いや、やる気はないんだけど。歌いたくないからふざけてるわけじゃないんです。

そうすると先生はこうおっしゃいました。

「おしりを締めるのよ!おしりの穴を!」

……セクハラされてんのかな?と思いましたが、どうやら違うようです。調べたところ、ケツというかおしりの穴を締めると高音が当たるようになるのは本当らしいのです。

高音を出すのがうまい人は、ケツを締めるのがうまい。そういう謎の知識を得た、「合唱及び独唱」の授業でした。