トニースタークが洞窟でトンカチを振るシーン

YouTuberが、マーベルのアベンジャーズシリーズの映画の中で、どのシーンが一番好きか、という話をしていました。

わたしはアイアンマン1やキャプテン・アメリカ/ファーストアベンジャーの時代からずっとMCU(マーベルシネマティックユニバース)を追いかけてきました……と思いましたが、最近の映画では観ていないものがあったみたい。あとドラマも観ていないのでもはや追いかけているうちに入らないかも。

名シーンはたくさんあります。アベンジャーズが初集合したシーン、キャプテン・アメリカがエレベーターの中狭い空間でアクションをするシーン、ロキの笑えるシーン、ワカンダフォーエバー、強すぎるキャプテンマーベル、新生スパイダーマンのワクワク感。

けれどもわたしの中で一番最初に思い浮かぶシーンは、アイアンマン1のトニー・スタークが洞窟でトンカチを振っているシーンなのです。

キン、キン、というトンカチの音に、その一定のリズムに合わせるように映画のバックミュージックが流れていくというシーン。派手なアクションでもないし、お金のかかった絵面でもないし、洞窟なので画面は暗いし、華やかなヒーロースーツもまだないし。やってることもトンカチで何かを叩くという、そこだけ見れば、それヒーロー?他の人も日曜大工でやってんじゃないそんなこと?みたいなシーン。何がそんなに良いんだろう、他にもっとあるだろうと思うのです。

アイアンマンだけをとっても「私がアイアンマンだ!」のシーンとか、アイアンスーツ大集合!とか、他にあるんです。私がアイアンマンだ!のシーンめっちゃ良いよな、他のヒーローなら絶対しないよ。

けれども、トニー・スタークが暗い中一人でトンカチで何かを叩いているシーンというのは、あれはクリエイターの姿なのです。

トニー・スタークはアイアンマンだし、科学者だし、大金持ちだし、社長だし、ヒーローだし、善くあろうとする人間なんだけど。その一番の本質っていうのはクリエイター、作り手である。ということなんじゃないかなとわたしは思うんです。

暗い洞窟の中で一人。見ていてくれる人もほぼいない。みんなで集まってワー!盛り上がっちゃう!これで行こう!イケてるぜ!とかじゃなくて、目の前のものに向き合って、時間をかけて無言で何かを作る。

彼って華やかだし目立つし、はたから見る限り、いつも人に囲まれて表舞台に立って、そうして一日を、人生を過ごしたような人に見えるかもしれないけど。本当はああやって一人、何かを作る人なんだと思うわけです。それが表れてるから印象に強く残ったんだと思います。

 

最近ってなんか、「みんなでやろう!一人で部屋にこもってないで、その場で知恵を出し合って閃いて、みんなでやってみよう!重たく考えすぎないで、勢いが大切!」みたいなノリが強くないですか。それが時流だと思うし、実際それが一番大事なんだと思う。仲間は大切だし、人間には時間も限られてるし。

洞窟で一人トンカチを叩いているようなことは、誰にも見えないから、無視されがちです。

けれどもそうやってアイアンスーツは出来たんだな、と思います。