二次創作作品を消さないでと言われても、消してもいいということ

過ぎ去ったジャンルの二次創作作品を、どうか消さないで!

という内容のツイートをよく見ます。どのジャンルだからとか関係なく、どんな場所でも繰り返し流れてきます。(個人的には、もしわたしが書いた二次創作を消さないでと言われたら嬉しいけど、それは今は関係ないことです)

「ジャンルから去ったら消せ!」とか言ったら、マジ過激だし意味わかんないじゃないですか。だけど、消さないで!だと、「あなたの作品を尊いと思ってる!」というプラスの感情から言ってるものだから、一般的にみて悪い感じはしないですよね。

でも、「〜して!」と言ってることは、変わらないんですよ。もちろん、どんなツイートも個人に対して言ってるのでも強制しているのでもなく、全体に対して「消さないでいてくれたら嬉しい」と気持ちを表明しているだけです。だから、「〜して!」と言っていることにも満たない、ただ、二次創作作品がひとつでも残ってくれればと思う、純粋な気持ちから生まれる言葉なんだということはわかっています。わたしもそういう気持ちです。

残してくれれば……何回でも楽しめるのに。これから何人もが楽しめるのに。

それは、読み手の勝手な気持ちです。例えばわたしの、勝手な気持ち。何回も楽しみたいから。誰かが読めるから残しておいて。

けれども本来は、そんなんどうでもいいんです。残したければ残し、予告もなく消す権利が作った方にはあるんです。

作品を消さないでいてくれたら、本当に嬉しいですよね。わたしが将来ハマる、まだ見ぬジャンルに、先人が大切に残してくれていた二次創作作品があったら、幸せなことだと思います。

二次創作はたしかに他の作家の作品の領域を間借りして繰り広げる創作活動だけど。それでもやっぱり、ある人が膨大な時間をかけて書いたり描いたり作ったりした、そういうものなわけです。

生殺与奪の権は、作者にあり。誰かが長く楽しむために残しておいてとか、誰かがこれから来るからそのために残しておいてということは、かなり自分勝手な意見です。わたしも正直残しておいてくれたらほんとに嬉しいと、そう思う自分勝手な側の人間だから、そういう気持ちになることがあります。

どうして消しちゃうの。他の人にも楽しんでもらえるのに、きっと感動してもらえるのに。って思います。

けど、どうして、楽しんでもらわないといけないんですか。感動してもらわなければならないんですか。作った人は、そのために書いたんでしょうか?

では、膨大な時間を捧げて作った作品を、どうして消したんでしょうか。消したいと思ったから、残しておきたくはないと思ったからじゃないでしょうか。もちろん説明の義務はありません。

誰かが、消せ!と言ったって消さなくてもいいように(もちろん原作者がそう言ってきたり、パクったりしてる場合はダメだけど)誰かが残してほしいと思ったとしても、本人が消したいなら消していいのです。そのふたつは同じ強さで両立されます。

作品を消さないでほしいという気持ちを表明するのも、全然良いことです。そういうふうに言われて嬉しいわたしのような人もいるでしょう。けれど作品を消すことも、「消さないで」と誰かが言うのと同じように、気軽にやってもいいんです。