下位チームこそ面白い

Formula 1: 栄光のグランプリ」という番組を観てます。

最近シーズン4がリリースされましたが、シーズン1から全部順番に観られるほど面白いです。1シーズンごとに現実のF1のシーズンも1シーズンずつ進んでいくドキュメンタリーです。

2021年は、ずっとトップに君臨していたメルセデス(ベンツ)からレッドブルが王座を奪えるか!?というシーズンでした。もちろん年間チャンピオンの座を巡る争いは見応えがあります。コンストラクターズ(チーム)優勝を巡る闘いも、個人優勝ではなくて二人のドライバー合計でのポイントシップになるので、一人だけ速くてもダメ、二人とも速くなきゃダメ。という面白さがあります。

けれども、そういった上位に入る有力なチームではなく、成績が最下位だったり下から二番目の位置にいたりするチームもとても面白いのです。

こういう弱いチームというのは、存続の危機を迎えていることが多いのです。もう、勝つのか?何回勝てるのか?チャンピオンを狙えるのか?なんてことは考えない。勝てないんで。表彰台も順当に考えて無理です。

とにかく今季が終わるまで生き残れるのか。このチームは来年、あるのか、それとも消滅または売却されてしまうのか。このチームで働いている数多くの人たちの雇用は?全員を守れるのだろうか?ということを考えているんです。

もともとこういう弱小のチームというのはお金がないので、働いている人たちもトップチームに比べるとかなり少ないんですけどね。トップチームのように余裕のある人数を雇えないので、職員のシフトもきつい。きつくて休めなければミスをするし、給料が安いならモチベーションは上がらない。

勝てない、勝てない、勝てない。走る前から負けるのが分かっているようなものなのです。だってお金が無いから。莫大な資金を開発に投じているチームのマシンと、こういった弱小チームのマシンは、走らせなくてもどっちが速いか分かってしまうのです。

でも、やめるわけにはいきません。チームの数がこれ以上減ればドライバーの席も少なくなるし、雇用も守らねばなりません。なんとかしてスポンサーを見つけ、どうにかこうにか少しでも上を目指し、最下位から脱しようともがくのです。

ドライバーにしても、そんなチームではなく、もっと上のチームに行きたいに決まっています。もしメルセデスか、レッドブルか、フェラーリマクラーレン…とにかくそういった勝てる見込みのあるチームに移籍できたら俺だって!という気持ちでいるんです。

でも、シートを失うよりはそこにいた方がまだチャンスがあるんですね。遅いマシンでもうまく走らせていれば、将来的にどこかのチームから声が掛かるかもしれないし。そうでなくても、ずっと遅いチームにいたとしても、現役のF1レーサーでいることができますから。

上位チームがやれ王座奪還だ死守だのと盛り上がって闘っていますが、下位チームも死闘を繰り広げている。応援したくなります。